今回のインタビューについて
今回のインタビューは、「法人向けの出張手配代行」「個人向けの旅行プランの提案」「海外パッケージツアーの販売クルーズツアーの販売」など、企業の業務渡航から個人旅行まで、幅広く旅のプランニングや手配代行を行う株式会社 IACEトラベルの人事総務グループ 中西さんにお話を伺いました。
株式会社 IACEトラベルは、ホテルや航空券など出張に関係する予約をまとめてオンラインで行えるクラウドサービス「SmartBTM」を提供しています。請求書払い(後払い)やクレジットカードに対応することで、めんどうな立替経費精算の手間を省くことができ、出張者や企業の手配担当者の負担軽減に繋がるよう尽力しています。
御社のビジョンを教えてください。
当社の企業理念は、「社会に価値を提供し、幸福を創造することにより必要とされる存在となる」ということを掲げています。事業を取り巻く環境や状況は常に世界規模で変化しますし、当社は変化に対して柔軟に対応していくカルチャーが根付いているので、ビジョンは適切なタイミングでポジティブに変えることはありますが、根底にある部分は一貫してこの理念を掲げています。幸福を創造するというと壮大な印象を受けるかもしれません。しかし、“社会に価値を提供し幸福を創造すること”というのは、時代や環境の変化などによってIACEトラベルの提供するサービス内容が変わったとしても、自分や同僚、取引企業様や顧客として関わりのある方々など、「誰かを思って誰かのために行動する」というごく身近なことの積み重ねであり、常々企業のあり方として当社で大切にしている考えです。
御社の総務部門におけるサステナビリティへの考え方を教えてください。
現在の当社のビジョンは、「企業のバックオフィスを効率化する」事業者として、出張手配をメインに取引企業様を手厚くサポートしつつ、ご担当者様の手間を軽減できるよう、日々活動を行っています。総務というと、目に見えるものも見えないもの、さまざまな管理・調整が主な業務ですが、当社の人事総務部門では「時間」に対する取り扱いや意識を持つことを常に話しています。なぜかというと、インフラ整備・仕組みの構築によって効率化が実現し、作り出された時間によってさまざまな好循環を生む資産になる可能性があるからです。
ー サステナビリティへの考え方として、他に重視している考え方はありますか?
従業員は日々目の前の業務に取り組んでいますが、やはり目に見えない未来への行動投資というものはなかなか実践まで手が届かないこともあります。そこで、人事総務部門は会社運営上、果たすべき役割・立場としての先導者として、サステナブルである状態の維持向上に努めようという根幹的考えを持っています。
社内のサステナビリティ推進のために、利用されているツールやサービスはありますか?
総務部門では、備品購入や店舗移転等を、店舗や従業員だけの判断に委ねすぎないよう、日頃より従業員と頻繁にコミュニケーションをとりながら、マニュアルに沿って行うことによって、「モノを大事に使う」「ムダ買いしない」に繋げています。現在はアストロラボ株式会社の備品管理クラウドサービス「備品管理クラウド」を利用することで、積年の課題のひとつであった備品管理や資産管理をシステム化・可視化できるようになったので、物理的な壁を越え、いつでもどこでも情報を共有できるようになりました。また、以前は、店舗ごとにエクセルで備品管理を行っていたため、エクセル上のデータと実態が異なる事態が発生し、従業員の人数に対して1.5倍ほどのPCが必要でした。備品管理クラウドの導入によって、遊休品の状況も含め、管理が非常に簡単になり助かっています。管理コストの削減によって、労働生産性が上がりました。
「モノを大事に使う」「ムダ買いしない」ために、どんな取り組みを行っていますか?
まず、日頃の物品・備品の購入は原則として共通した指定のオフィス用品通販サイト等を利用し、購入の際はたとえ10円のものだとしても上長の承認を得て購入という手順を踏むようになっています。「必要な経費はかける」というのも当社の考えですので、この手順は少しでも安価に抑えるためだけではなく、先を見据えた判断をするためです。
例えば、後先考えずその時必要だからと購入をすることであとから管理するスペースが負担となったり、過剰在庫が発生して廃棄や破棄になったりすることもあります。それは社会に価値を提供し、幸福を創造することを理念としているのに環境や循環のことを考えていないことになり、経営目線を持たずにこうしたムダ買いをして、モノを大事にできないことで何も良いことはありません。取組みでいうと、日頃より各地にいる従業員と人事総務部門とでやり取りを頻繁におこなっており、備品購入や店舗移転等もマニュアルに沿って行うため、店舗ごとや従業員に委ねすぎない仕組みがあることは「モノを大事に使う」「ムダ買いしない」取組みに繋がっていると感じます。
ー 各従業員が総務部に直接、購入申請を行えるようにすることで、ムダ買いを防止しているのですね。
従業員に委ねすぎない仕組みというところがありますので、購入の際には第二・第三者から承認を得て購入するというのが、まずひとつの取り組みです。
ー 「モノを大事に使う」「ムダ買いしない」ための取り組みにおける課題はありますか?
現在は備品の管理に備品管理クラウドを利用することで、積年の課題のひとつであった備品や資産管理もようやく可視化できるようになったので、場所の壁を越えていつでもどこでも情報共有できるようになりました。しかし、現在のような形に至るまでの間に購入してきたほとんど使用しない備品なども、いまだに存在するため、いかに未来に向かいながら過去を整理していくかが継続課題です。
余っている備品は、購入時に備品管理クラウド上でチェックし、その上で承認をしているのでしょうか?
移転や社員の異動などに伴う備品の発注や備品の移動があった際に、以前は「無いから購入しよう」と従業員が決めていましたが、現在は移転作業の中で総務部門とやり取りをし、購入前に備品管理クラウドを利用して自社に在庫があるかを確認し、在庫があれば送るといったことが始められています。
ー 拠点間の備品移動をサポートするということですね。
ネット通販は手軽ですぐに購入できますが、オフィスのスペースも限られているため、1つのシステムが入ったことによって、備品の管理はもちろんですが、異動の際などむやみに発注をしない仕組みはできています。以前はPCの管理を店舗ごとにExcelで行っていたため、Excelと実態が違うという状態が発生し、従業員の人数に対して1.5倍ほどのPCがありました。現在は備品管理クラウドを導入したことによって遊休品の状況も含めて、管理が非常にやりやすくなったという部分が、当社としても非常に助かっています。
今後はどのようなサステナブルな取り組みを行っていきますか?
当社はモノを作るメーカーではないため、CO2排出量削減に直接インパクトを与えるような貢献は難しいかもしれませんが、出張手配をメインに「企業のバックオフィスを効率化する」事業者として2つの取り組みが可能であり、行っていきたいと考えています。
1つ目は適切な情報支援です。
例えば、航空分野におけるCO2排出量の削減、気候変動への対応は航空各社が取り組んでいますが、個人が情報を集めるのは大変です。そのため、当社を利用する顧客の皆様へ、搭乗する航空会社にカーボンオフセットの選択肢はあるのかなど、サステナビリティの取り組みを伝えています。
また、2022年2月には出張予約がかんたんにできるクラウドサービス『Smart BTM』の国際航空券予約時に CO2 排出量を表示する新機能をリリース致しました。
これまで航空券選びの際、「価格」「時間」「経由地」「航空会社」等を比較検討し選択しておりましたが、今後は「CO2 排出量」も重要な検討要素になっていくものと考えています。
CO2 排出量を表示することで、同じ航空券価格でも CO2排出量の少ないフライトを選択するなど、従業員の環境に対する意識改革に寄与するだけでなく、一歩踏み込み購買行動に反映することが可能です。
2つ目は、バックオフィスをサポートすることでの省エネです。
当社にお任せいただくことで、顧客の皆様がコア業務に集中できることは、運営上のコスト削減やエネルギー効率の向上にも繋がります。
世間の企業のSDGsやサステナビリティ活動への認識が、購買や推奨など実際の行動に影響を及ぼすことは循環そのものと言えます。
先ほどお話しした取り組みによって、社内インフラを整える役割を持つ自分自身はもちろん、日々従業員が張り巡らす情報感度は当然高くなっていきますし、それにより自身の行動への変化も見込まれます。
サステナブルな取り組みによって将来的に、御社の従業員や会社、また顧客などにどのような変化を起こしたいですか?
最近、ある地方銀行で、事業者や個人向けに、SDGsなど環境・社会効果に関わる達成目標を設定し、達成状況に応じて融資条件を変動させる新サービスが開始されました。当社は、これまで多数の企業様にご愛顧いただき今日に至っておりますが、持続可能な社会を目指すなか、情報提供やバックオフィスのサポート等、多様に支援していくことで、顧客の皆様の今後の取り組みに、持続可能な循環を生み出す作用・変化として貢献できるかもしれないと考えます。